2020年03月17日14:24
生命力に満ちる梅雨時期の奄美の森。この時期だけの動植物に会いに行こう

奄美の梅雨は、本土と比べて長いのが特長です。
だいたい5月中旬にはじまり、6月下旬までと約一カ月以上も雨の多い期間が続きます。
人間にとっては、毎日しとしとと降る雨にうんざりしてしまうときもありますが、島の動植物にとっては成長のための潤いを蓄えることのできる大切な時期なのです。
梅雨入り前、奄美の森はスダジイの花の匂いに包まれます。そこへ夏鳥のリュウキュウアカショウビンがやって来て、キョロロロローと鳴きだしたら「そろそろ梅雨入り」の合図。もっとも生命力で満ち溢れるこの時期の森のなかは、自然観察にぴったり。この時期にしか見られない動植物をご紹介します。
奄美の梅雨は早くて長い
▲スダジイの花
「梅雨入り」と聞くと、一般的には6月を思い浮かべるのではないかと思いますが、奄美の梅雨入りの平年値は「5月11日ごろ」、梅雨明けの平年値は「6月29日ごろ」。年によっては梅雨入りが4月下旬ごろにはじまったり、梅雨明けが7月上旬にずれこむこともあります。
梅雨の最盛期である6月には、太平洋高気圧の周りから暖かく湿った空気が流れ込み、激しい雨になることも。6月の一カ月間に降る雨量は1年で最も多く、400㎜を超えます。強烈な日差しが降りそそぐ真夏を前に、森にはたっぷりの水が蓄えられます。
気軽に森を散策できる奄美自然観察の森
梅雨の時期は、さまざまな植物が花を咲かせるので、植物観察がおすすめ。しかし、奄美には毒蛇のハブが生息しているので、むやみに山に入るのは危険です。
そこでおすすめしたいのが、誰もが気軽に山の中を散策できるように整備された「奄美自然観察の森」です。
空港から車で約40分、奄美大島北部の龍郷町にある「奄美自然観察の森」は、長雲山系の自然の森に作られた公園です。ここは、奄美群島国立公園の第1種特別地域に当たる場所で、自然の森をそのまま活かす形で遊歩道や展望台などが整備されています。
誰でも遊歩道を通って森の奥まで散策できるので、自然を観察するにはもってこいの場所です。事前に予約をすれば、公園内の旬な植物や生き物を余すことなく案内してもらえるガイドをお願いできます。奄美の森が初めてでも動植物の観察ができるのでおすすめです。
スダジイの花から梅雨を彩る花たちへ
奄美自然観察の森で、梅雨の時期に見られる植物をご紹介します。
梅雨入りすると、森中を包んでいたスダジイの花の匂いは消え、森は梅雨の装いへと変化していきます。薄暗い日が多い梅雨の時期、山の濃い緑の中に明るく花が開きます。
▲コンロンカ
森や林を通る道端でしばしば見かけるコンロンカ。大きな白い花がたくさん咲いたように見えますが、白い部分は「がく片」と呼ばれるもので、花ではありません。本当の花はがく片に囲まれた小さな黄色い星形の部分という、ちょっと変わった花を咲かせます。
▲イジュ
イジュは山の斜面や林の縁などに生えています。山に自生する他、街中に植栽されていることもあります。毎年梅雨の時期に直径5cmほどの白い花を咲かせるので、人びとに梅雨であることを実感させる花です。
森の中では、直射日光が苦手な植物たちも元気な姿を見せてくれます。
▲カクチョウラン
カクチョウランは、大きなものでは1mにもなる大型のランです。地面からすっくと立ち上がる姿は力強く、鮮やかな花が薄暗い森の中でひときわ目立ちます。
ここでひとつ、花ではないものをご紹介します。光るキノコとして知られている、シイノトモシビタケです。このキノコはスダジイなどの古木や朽ちた木に生え、2~3センチの長さに育ちます。
昼間は何の変哲もない薄茶色のきのこですが、夜になるとこの通り、発光物質の働きで淡い緑色に光ります。
▲シイノトモシビタケ
暗闇の中にぼんやりと浮き上がるキノコの灯は幻想的で、「森の妖精」という呼び名がぴったりです。4月中頃から9月くらいまで見ることができ、特に梅雨の間によく光る様子が見られるとのこと。周辺にはハブが出やすいので十分注意して下さい。
出会えたら幸運です。梅雨に元気な生き物たち
奄美自然観察の森には、さまざまな生き物もいます。植物と違い、自ら動き回る生き物に出会うのはなかなか大変ですが、運が良ければ出会えることもあります。
▲アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエルは奄美大島の固有種で、渓流のある深い森だけに生息しています。大きさは10cmほどで、緑色の体に黒く縁どられた金色のはん紋があり、日本で最も美しいカエルの1つに数えられます。実際に見てみると、艶やかな体が美しく、つぶらな瞳がかわいらしいカエルです。
オットンガエル(奄美の言葉で大きいカエルという意味)や、生きた化石とも呼ばれるイボイモリもひょっとしたら出会えるかもしれません。
森の中には、梅雨の時期に子育てをする鳥たちもいます。
▲オーストンオオアカゲラ(メス)国指定天然記念物
オーストンオオアカゲラは奄美大島の深い森だけに生息するキツツキの仲間です。スダジイなどの木の幹に穴を掘って巣を作り、ヒナを育てます。
▲アカヒゲ(オス) 国指定天然記念物
奄美で一年中見られるアカヒゲも5月6月が子育ての時期です。オスもメスもヒナに与える昆虫の幼虫やミミズなどを捕まえるのに大忙しとなります。
▲ルリカケス 国指定天然記念物
ルリカケスは奄美大島、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)だけに生息する鳥。こんなにカラフルですが、カラスの仲間です。梅雨の時期は、親鳥が巣立ったばかりの若鳥に餌の探し方などを教えるため、親子で一緒にいる様子を見かけます。
梅雨の時期、雨の日が多くて外出が億劫になりがちですが、森に入ればこの時期ならではの植物や生き物の姿が見られます。奄美の自然の特徴の1つが生物多様性ですが、梅雨の時期の森の姿はその一側面です。
ここにご紹介したのは、多様な生物の世界のほんの一部。実際に森に入れば、もっともっと豊かな生物の世界を目の当たりにすることができます。しっとりと雨に煙る奄美の森へ、ぜひ一度足を運んでみませんか?
(取材協力・写真提供:奄美自然観察の森)

くもん ともこ
主婦/ライター 茨城県出身。2011年から奄美大島在住。一児の母。大島海峡の青い海とアマミノクロウサギが棲む山の緑を毎日眺めながら暮らしている。食べることが大好きで、初めて出会ったものはとりあえず食べてみるのがモットー。
みんなの奄美じまんフォト紹介
※上記のテキストリンクよりスカイマークの「みんなの奄美じまん」へ遷移します

【ニックネーム】
yuriko
【コメント】
ナガサキアゲハ、かな?
島には蝶が沢山いました。色とりどりでつい目で追ってしまいます。
それぞれ名前も気になってしまいます…!

【ニックネーム】
アキ君
【コメント】
奄美自然観察の森(龍郷町)。 野鳥好きには最高のポイント。
奄美の野鳥満載、ルリカケスはベストドレッサー、真横から羽色が美しい。
2020年03月06日15:31
【奄美歳時記-3月】奄美の海開きは笑顔いっぱい!サンガツサンチを楽しもう♪
ばしゃ山村ビーチでの海開き行事は、コロナウイルス対策に伴い神事のみ行います。
奄美市の大浜海浜公園での海開きは中止です。
奄美市の大浜海浜公園での海開きは中止です。

本州とも沖縄とも異なる歴史のなか、独自の文化を育んできた奄美大島。
そんな奄美大島ならではの伝統行事や文化がたくさんあることをご存知でしたか?
観光客が気軽に参加できる行事も多いので、伝統行事があるタイミングを狙って奄美大島旅行を計画するのもおすすめ!
今回はそんな伝統行事のひとつである「サンガツサンチ」をご紹介します。
その名の通り、「旧暦三月三日」に行われる節句行事。
本土で三月三日といえば「ひな祭り」ですが、奄美ではサンガツサンチと言えば浜に出て、磯遊びを楽しむ行事なんです。最近では「海開き」も合わせて行われるようになりました。
暖かさを増し、まさに春の様相を感じはじめる、この時期。サンガツサンチ行事に参加して、一足早い春を感じてみませんか?
ウナグ節句「サンガツサンチ」とは
「サンガツサンチ」とは、『ウナグ』(奄美大島の方言で「女性」の意味)の節句行事。この日に、初節句を迎える0歳児の女の子の足を海につけて、健康を願う慣わしがあります。
この時期は潮の満ち引きの差が大きい大潮(おおしお)にあたります。干潮の時間帯には、いつも海の中にある遠くの浜も水面から顔を出すので、たくさんの種類の貝を見つけることができるんです。
お弁当を用意して家族みんなで浜に出て、ごちそうを食べたり、貝拾いを楽しんだり。
サンガツサンチは本来、そんな風に浜で遊ぶ伝統行事なんです。
「サンガツサンチに海に行かないと、カラスになる」
そんな言い伝えもあるくらい(※集落によって異なる表現がたくさんあります)、島の人にとって、この日は「海で遊ぶぞ!」という大切な日だったんですね。
現代では、昔のようにごちそうを用意して海でみんなで食べる、という風景はなかなか見られなくなりましたが、大きく引いた干潮の海に出て貝拾いをする島人たちは多くいます。
そして、奄美市では毎年笠利町と名瀬で「海開き」行事が行われ、初節句を迎える赤ちゃん連れで多くの人でにぎわいます。
春の海で初泳ぎ!笑い声がたえない海開きイベント
2020年にサンガツサンチが行われるのは、3月26日(旧暦の3月3日)。
例年海開きをイベントを開催している、奄美市笠利町のホテルやレストランがある奄美リゾート「ばしゃ山村」の方にお話をお伺いしました。
サンガツサンチの日のばしゃ山村ビーチには、小さいお子さん連れの家族や、お弁当を持って見に来たおじいちゃんやおばあちゃん、泳ぐ準備バッチリの地元の小中学生など、たくさんの人が集まります。
イベントは、海の安全を祈る神事から始まります。
海上保安部の方や、区長さん、役場の方など関係者が集まり、玉串を神様に捧げる玉串奉奠(たまぐしほうてん)や島唄奉納などが行われます。
厳かな雰囲気の神事が終わると、いよいよ海開きの宣言が!
水着に着替えて、この瞬間を待ち構えていた子どもたちが、ワーッと海へ入っていきます。
まだ冷たさが残る海にキャーキャーと叫びながら、水をかけあったりして初泳ぎを楽しみます。子どもたちがマリンスポーツを楽しめるよう、SUP(スタンドアップ・パドルボード)やバナナボートなども無料で体験することができますよ。
一方浜辺では、初節句をむかえる新生児の女の子の足を海につける姿が。子どもの健康と無病息災を祈ります。
突然海に入れられた子どもたちは、驚きすぎて固まってしまったり、海の冷たさに泣き出してしまったり。そんな赤ちゃんを笑顔であやすお母さんお父さんの姿など、ほほえましい光景が浜のそこかしこで広がります。
それぞれが春の海を楽しんでいるうちに、いつのまにかお昼時に。
イベントはお昼前にいったん終了し、会場には持参のお弁当を広げる家族連れや、まだまだ遊び足りない子どもたちが残ります。
春の奄美大島を楽しみにぜひいもーれ
サンガツサンチは伝統行事としても重要なイベントですが、雨や曇りの日が多い冬の終わりを感じさせる、明るく活気のあるイベントでもあります。春の奄美大島への観光をお考えなら、この行事と合わせてみても楽しいかもしれません。その際はぜひサンガツサンチを一緒に体験してくださいね!
2020年の開催日は3月26日。
イベントの場所は奄美市笠利町のばしゃ山村ビーチと奄美市名瀬の大浜海浜公園で行われます。詳細は奄美市役所(0997-52-1111)でご確認ください。

藤原志帆
大阪出身、26歳で奄美大島へIターン。大学在学中はチリ、スペイン、アメリカに留学し、中南米の6カ国28都市をバックパッカーとして周遊。その後新卒で不動産広告のITベンチャー企業に就職し、トップセールスを獲得する。美しい海に憧れて奄美大島に移住した現在は、フリーライター、ブロガー、通訳士(スペイン語・英語)、アフリカンダンサー、予備校など多方面で活動中。地酒の黒糖焼酎が大のお気に入り。
みんなの奄美じまんフォト紹介
※上記のテキストリンクよりスカイマークの「みんなの奄美じまん」へ遷移します

【ニックネーム】
あいこ
【コメント】
西古見の三連立神とアダンの木。

【ニックネーム】
アンマちゃん
【コメント】
奄美の海は他の島よりも色が深いのが魅力です。
青、蒼、碧・・色々な海の『あお』を楽しむことができます。
同じ海でも時間帯によって味わいが変わるのが素敵です。