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生命力に満ちる梅雨時期の奄美の森。この時期だけの動植物に会いに行こう




奄美の梅雨は、本土と比べて長いのが特長です。
だいたい5月中旬にはじまり、6月下旬までと約一カ月以上も雨の多い期間が続きます。
人間にとっては、毎日しとしとと降る雨にうんざりしてしまうときもありますが、島の動植物にとっては成長のための潤いを蓄えることのできる大切な時期なのです。

梅雨入り前、奄美の森はスダジイの花の匂いに包まれます。そこへ夏鳥のリュウキュウアカショウビンがやって来て、キョロロロローと鳴きだしたら「そろそろ梅雨入り」の合図。もっとも生命力で満ち溢れるこの時期の森のなかは、自然観察にぴったり。この時期にしか見られない動植物をご紹介します。


奄美の梅雨は早くて長い


▲スダジイの花

「梅雨入り」と聞くと、一般的には6月を思い浮かべるのではないかと思いますが、奄美の梅雨入りの平年値は「5月11日ごろ」、梅雨明けの平年値は「6月29日ごろ」。年によっては梅雨入りが4月下旬ごろにはじまったり、梅雨明けが7月上旬にずれこむこともあります。

梅雨の最盛期である6月には、太平洋高気圧の周りから暖かく湿った空気が流れ込み、激しい雨になることも。6月の一カ月間に降る雨量は1年で最も多く、400㎜を超えます。強烈な日差しが降りそそぐ真夏を前に、森にはたっぷりの水が蓄えられます。


気軽に森を散策できる奄美自然観察の森

梅雨の時期は、さまざまな植物が花を咲かせるので、植物観察がおすすめ。しかし、奄美には毒蛇のハブが生息しているので、むやみに山に入るのは危険です。
そこでおすすめしたいのが、誰もが気軽に山の中を散策できるように整備された「奄美自然観察の森」です。




空港から車で約40分、奄美大島北部の龍郷町にある「奄美自然観察の森」は、長雲山系の自然の森に作られた公園です。ここは、奄美群島国立公園の第1種特別地域に当たる場所で、自然の森をそのまま活かす形で遊歩道や展望台などが整備されています。

誰でも遊歩道を通って森の奥まで散策できるので、自然を観察するにはもってこいの場所です。事前に予約をすれば、公園内の旬な植物や生き物を余すことなく案内してもらえるガイドをお願いできます。奄美の森が初めてでも動植物の観察ができるのでおすすめです。

スダジイの花から梅雨を彩る花たちへ

奄美自然観察の森で、梅雨の時期に見られる植物をご紹介します。

梅雨入りすると、森中を包んでいたスダジイの花の匂いは消え、森は梅雨の装いへと変化していきます。薄暗い日が多い梅雨の時期、山の濃い緑の中に明るく花が開きます。


▲コンロンカ 

森や林を通る道端でしばしば見かけるコンロンカ。大きな白い花がたくさん咲いたように見えますが、白い部分は「がく片」と呼ばれるもので、花ではありません。本当の花はがく片に囲まれた小さな黄色い星形の部分という、ちょっと変わった花を咲かせます。


▲イジュ

イジュは山の斜面や林の縁などに生えています。山に自生する他、街中に植栽されていることもあります。毎年梅雨の時期に直径5cmほどの白い花を咲かせるので、人びとに梅雨であることを実感させる花です。

森の中では、直射日光が苦手な植物たちも元気な姿を見せてくれます。


▲カクチョウラン

カクチョウランは、大きなものでは1mにもなる大型のランです。地面からすっくと立ち上がる姿は力強く、鮮やかな花が薄暗い森の中でひときわ目立ちます。


ここでひとつ、花ではないものをご紹介します。光るキノコとして知られている、シイノトモシビタケです。このキノコはスダジイなどの古木や朽ちた木に生え、2~3センチの長さに育ちます。
昼間は何の変哲もない薄茶色のきのこですが、夜になるとこの通り、発光物質の働きで淡い緑色に光ります。


▲シイノトモシビタケ 

暗闇の中にぼんやりと浮き上がるキノコの灯は幻想的で、「森の妖精」という呼び名がぴったりです。4月中頃から9月くらいまで見ることができ、特に梅雨の間によく光る様子が見られるとのこと。周辺にはハブが出やすいので十分注意して下さい。


出会えたら幸運です。梅雨に元気な生き物たち

奄美自然観察の森には、さまざまな生き物もいます。植物と違い、自ら動き回る生き物に出会うのはなかなか大変ですが、運が良ければ出会えることもあります。


▲アマミイシカワガエル

アマミイシカワガエルは奄美大島の固有種で、渓流のある深い森だけに生息しています。大きさは10cmほどで、緑色の体に黒く縁どられた金色のはん紋があり、日本で最も美しいカエルの1つに数えられます。実際に見てみると、艶やかな体が美しく、つぶらな瞳がかわいらしいカエルです。

オットンガエル(奄美の言葉で大きいカエルという意味)や、生きた化石とも呼ばれるイボイモリもひょっとしたら出会えるかもしれません。


森の中には、梅雨の時期に子育てをする鳥たちもいます。


▲オーストンオオアカゲラ(メス)国指定天然記念物 

オーストンオオアカゲラは奄美大島の深い森だけに生息するキツツキの仲間です。スダジイなどの木の幹に穴を掘って巣を作り、ヒナを育てます。


▲アカヒゲ(オス) 国指定天然記念物

奄美で一年中見られるアカヒゲも5月6月が子育ての時期です。オスもメスもヒナに与える昆虫の幼虫やミミズなどを捕まえるのに大忙しとなります。


▲ルリカケス 国指定天然記念物
ルリカケスは奄美大島、加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)だけに生息する鳥。こんなにカラフルですが、カラスの仲間です。梅雨の時期は、親鳥が巣立ったばかりの若鳥に餌の探し方などを教えるため、親子で一緒にいる様子を見かけます。


梅雨の時期、雨の日が多くて外出が億劫になりがちですが、森に入ればこの時期ならではの植物や生き物の姿が見られます。奄美の自然の特徴の1つが生物多様性ですが、梅雨の時期の森の姿はその一側面です。

ここにご紹介したのは、多様な生物の世界のほんの一部。実際に森に入れば、もっともっと豊かな生物の世界を目の当たりにすることができます。しっとりと雨に煙る奄美の森へ、ぜひ一度足を運んでみませんか?

(取材協力・写真提供:奄美自然観察の森)



くもん ともこ
主婦/ライター 茨城県出身。2011年から奄美大島在住。一児の母。大島海峡の青い海とアマミノクロウサギが棲む山の緑を毎日眺めながら暮らしている。食べることが大好きで、初めて出会ったものはとりあえず食べてみるのがモットー。







みんなの奄美じまんフォト紹介
※上記のテキストリンクよりスカイマークの「みんなの奄美じまん」へ遷移します


【ニックネーム】
yuriko
【コメント】
ナガサキアゲハ、かな?
島には蝶が沢山いました。色とりどりでつい目で追ってしまいます。
それぞれ名前も気になってしまいます…!



【ニックネーム】
アキ君
【コメント】
奄美自然観察の森(龍郷町)。 野鳥好きには最高のポイント。
奄美の野鳥満載、ルリカケスはベストドレッサー、真横から羽色が美しい。